会話と同じスピードで書き取れるように工夫された記号のような『速記文字』を用い、議事や会合の記録などを目的に、人の言葉を一語一句正確に書き取っていくのが、速記者の仕事です。一般に速記者は地方議会の会議録の作成をはじめ、講演会やシンポジウム、対談や座談会などで働いています。

　仕事の現場では、政治や経済、文芸など、広範な分野の会話が速記の記録対象となります。そのため、速記者は、話の内容を正しく理解するために、事前に専門的な知識を身につけておくことが必要になります。

　通常の話し言葉の文字数は、1分間に300〜400文字です。速記者はこの分の文字数を専門用語などに注意しながら、速記文字で書き取っていきます。

　速記文字で書き取られた原稿は、一般の人には読めません。そこで、速記者は速記文字を普通の文字に書き直す『反訳』という作業を行います。時には録音テープで確認しながら、ワープロで原稿を作成していきます。

　こうして作成された原稿を、さらに誤りが無いかチェックし、完成原稿が出来上がります。

　このようにして、人の話を正確に速記文字で書き取り、話し言葉と書き文字の間のギャップをつなぐ掛け橋の役割を果たすのが、速記者の仕事です。