トンネルや道路、橋、そして下水道やダムなどは、多くの土木技術者たちが携わった仕事の成果です。

　ほとんどの土木技術者は、こうした建造物の設計や工事を行う建設会社の社員または国や地方公共団体の職員として、安全、快適で豊かな社会の建設に取り組みますが、その仕事の場は人目につく土木現場とは限りません。

　渡邉弘子さんのように、建設会社の研究部門で体系的な理論に基づいて新しいコンクリートの開発に取り組む人もいます。コンクリートには数え切れないほどの種類があります。工事現場の気温、湿度などの気候条件や設計条件にぴったりの強度と耐久性に優れ、工事のしやすいコンクリートを開発することは重要な仕事です。

　設計分野も人目につかない所で進められる作業です。大きな現場になると数千枚ともいわれる設計図が書かれますが、その１枚１枚を何度も何度もチェックする地味な作業も土木技術者の仕事です。

　会議に出席することも重要な仕事の一つです。土木工事の多くは、国や地方公共団体などによって発注されますが、その発注者と、技術面だけでなく、現場周辺への工事の影響などについて繰り返し会議が行われます。そうした人目につかない仕事を土台として土木事業は行われます。

　工事の現場。作業前のミーティングでは、時には自分より年配の人ばかりを相手に、作業計画を説明し、指示を出します。作業の現場では、進行状況を監視し、図面通りに計画通りに工事が行われているかを絶えずチェックします。山奥の現場などに配属されることもあり、その場合には何ヶ月も町に出ることはありません。その創造的な職場に、女性の進出も見られます。

　国の土台を造る仕事の中心となるのが、土木技術者です。